古くから多くの人に親しまれてきました。戸隠そばの始まりは、戸隠の霊峰で修行をしていた僧たちが、そば粉を水で溶き食べていたことから広まったとされています。当時はお湯でそば粉をこねる塊状の「そばかき」や団子状にして焚き火で焼いた「そば餅」が主流でした。一般的な麺状のそばは「そばきり」と言い、江戸時代頃に始まったとされています。戸隠そばは、麺を5~6束にして、水を切らずざるに並べた独特なぼっち盛りと呼ばれる盛り方をします。祭礼などの晴れの席でもてなし料理として出されることが多かったため、味だけでなく見た目にもこだわってぼっち盛りをしていたようです。
戸隠神社では、毎年11月頃に戸隠の地で収穫された新そばを戸隠の大神様にお供えするそば献納祭が行なわれています。自然の恵みに感謝し、これからのそばの栽培や収穫などをお祈りします。
先ほど紹介した戸隠神社は奥社・九頭龍社・中社・宝光社・火の御子社の五社からなる神社で、神話にある「※天の岩戸開きの神事」にまつわる神々を祀っています。
※天の岩戸開きの神事・・・太陽の神であるアマテラスオオミカミ様が弟の悪行に怒って岩戸に隠れてしまったため、世界中に光がなくなってしまいました。そこで大勢の神々が集い、岩戸の前で舞いを踊り騒ぐことで、外での楽しそうな笑い声が気になったアマテラスオオミカミ様が岩戸から出て、世界中に光が戻ったというお話です。
戸隠そばの歴史を知った上で蕎麦を召し上がると、よりいっそう味わい深くなり、おいしく召し上がっていただけると思います。